デザイン・クリエイティブの仕事データベース
専門的・技術的職業従事者

オーケストラ奏者(団員)の仕事内容・必要なスキル・給料

オーケストラにおいて自分が専門とする楽器を演奏する。また、ミュージカルやオペラの公演、映画、ドラマ、アニメーション等に収録される楽曲を演奏する。

どんな職業か

オーケストラにおいてコンサート等の定期公演、演奏会で自分が専門とする楽器を演奏する。演奏会の他にも、ミュージカルやオペラの公演、映画、ドラマ、アニメーション等に収録される楽曲の演奏を行う。  なお、団体としてのオーケストラには演奏を専門の職業とする楽員で構成されるプロフェッショナル・オーケストラ(プロオーケストラ)と他の職業に就業する楽員で構成され、楽員を雇用していないアマチュア・オーケストラ(アマオーケストラ)があるが、ここではプロオーケストラで演奏するオーケストラ奏者(以下、楽員と表記する場合もある)について解説する。  オーケストラのメインの活動として、年間に数回の定期公演、演奏会がある。公演、演奏会のプログラム、楽曲が決まると、楽譜担当の運営担当スタッフ(ライブラリアン)により用意された楽譜が参加する楽員に渡される。楽員は演奏する楽曲について楽譜研究を行い、リハーサルに向けて各自で表現方法を考えたり、技術的に克服するべき課題に取り組むなど、個人練習を行う。また、楽器によっては同じ楽器を担当するメンバーとの演奏を揃えるなど練習する。演奏会の本番が近づくと全員が参加し、オーケストラ全体でのリハーサルを行う。全体リハーサルは楽器編成やプログラムの規模にもよるが、1日に4~5時間、1日~3日程度行われ、指揮者の主導により楽曲の表現や演奏方法に関する様々な調整がある。楽員は指揮者の意向や指示を理解し、他の楽器の奏でる音とのバランスなど全体との調和を意識しながら自らのパートを演奏する。演奏会当日はコンサートホールなどの演奏会場に出向き、プログラムに沿って楽曲を演奏する。  定期公演、演奏会での演奏の他に、観客の前で演奏する機会としてはミュージカルやオペラでの演奏がある。この場合には、オーケストラピットと呼ばれる舞台前方や舞台下での空間で、劇やストーリーの進行に合わせて楽曲を演奏する。また、映画、ドラマ、アニメーションなどで流される楽曲の演奏は、主にコンサートホールやレコーディングスタジオで収録される。レコーディングスタジオでの収録などの場合には、あらかじめ楽譜が用意されず、その場で初めて楽譜を見て演奏することが求められることもある。  オーケストラ団体によっては、定期公演、演奏会の予定がないオフシーズンの期間に、学校に出向いたり、学校の生徒を対象とした鑑賞教室を実施するなどの教育プログラムの提供や、地域・コミュニティへの音楽を通した文化的社会貢献を行っている。オーケストラ奏者はこれらの活動にも参加し、演奏を通して生徒や地域社会の人々と交流し、音楽への関心を高めてもらう役割も担っている。  オーケストラ奏者には、一つの団体に所属する楽員のほか、特定の所属先はもたず演奏プログラムによって個々に要請を受けて、エキストラとして演奏に参加するフリーで活動している演奏者もいる。このような演奏者の場合、様々なオーケストラ団体の演奏会や不定期に開催される各種の音楽イベントに参加して演奏したり、スタジオ収録の仕事に参加したりする他、学校の授業や部活動での楽器演奏の指導、また音楽教室の講師を務めるなど様々な活動を行っている。特定の団体に所属している楽員であっても、大規模な団体に所属して固定給で就業している場合を除き、生計上の理由から多くは個人的に上記のような音楽関連の仕事や活動に従事している。オーケストラでの演奏以外の仕事を複数兼ねていたりすることや、公演や演奏会が休日と重なることも多いため定期的な休みをとりにくい面もある。  オーケストラ奏者として仕事をしていくためには、日々、演奏技術を磨き、高い技術を保ち続けることがもっとも重要な条件となる。そのため、毎日、休むことなく練習を積み重ね、常に自分の技術を研鑽していく努力が必要である。このような努力の積み重ねの結果、演奏会のステージで様々な楽器を演奏する他の楽員、指揮者と呼吸を合わせて思い描いていた通りの演奏をやり遂げ、多くの聴衆から盛大な拍手を受け、聴衆に喜びや感動を与えられたという達成感を得られることはこの仕事ならではの大きな魅力である。 <就業希望者へのメッセージ>  仲間とともにひとつの音楽を創る充実感は何にも代えがたいです。準備や練習は大変ですがお客様の拍手を受けた時に苦労が吹き飛びます。(就業者 40代)  色々な作品を演奏し、先人たちの偉業に触れられます。そして作品を次世代に受け渡していける意義深い仕事です。(就業者 40代)  スタジオレコーディングでできたものを聴いたり、出演したものが世に出るとやりがいを感じます。(就業者 40代) ◇よく使う道具、機材、情報技術等  担当楽器、演奏会用の衣装(燕尾服、ステージドレスなど)、タブレット端末とデジタルの楽譜用のアプリ、パソコン

なるには

オーケストラ奏者になるためには、多くの場合、幼少期や学齢期から楽器を習い、音楽に関する基礎的な知識や演奏の技術を身につけ、音楽大学等の器楽科で担当楽器に関する演奏技術を専門的に学び、スキルや技術を習得する。その上で、特定のオーケストラ団体の楽員をめざす場合、各団体が募集する担当楽器のオーディションに合格することが条件である。オーディションは概して演奏者に欠員が生じたときに行われるため楽器によっては求人そのものが殆ど無かったり、募集人数が限定されていたりする。楽器の種類にもよるが1名か2名の募集に対して数百人が応募するケースもあり、選考を通過するための競争倍率は非常に高い。選考の基準は演奏技術の高さであるため、コンクールでの入賞や受賞を除き、海外留学や大学院卒などの経歴や過去の演奏経験は選考では有利にならない。演奏技術さえ高ければ、音楽大学の在学中にオーディションに合格することもある。ただ、オーディションに合格しても数か月から1年程度は試用期間であり、演奏技術のレベルによっては正式に採用されないこともある。  このように、オーケストラの楽員として安定した職に就くには早期から音楽に親しみ、音楽全般に対する専門的知識や経験をもちつつ、高い演奏技術を発揮できる能力があることが前提条件であり、加えてオーディションに合格するという難関を乗り越えなければならない。そのため音楽大学卒業後、オーケストラ奏者になることを断念し、初等中等教育の音楽担当の教員になったり、大学院を修了して大学の教員の職をめざすなど、他の職業に方向転換する者も少なくない。  オーケストラ奏者に求められる資質としては、音楽や楽器演奏に喜びを感じ熱意を持てること、担当楽器に関する優れた演奏技術、技術の向上をめざす探究心、音楽全般の専門的な知識や感性である。この他、異なる楽器を演奏する他の楽員、指揮者、オーケストラの運営に関わるスタッフとコミュニケーションをとり、協調していくことも求められる。また、演奏会などではコンサートホールの舞台上で多くの聴衆を前にして演奏する機会も多いため、人前で動じない精神力や度胸も必要になる。同時に、日々、休むことなく楽器の練習を続ける根気強さやねばり強さ、長時間の演奏に耐えられる集中力や体力も重要となる。

給料

賃金構造基本統計調査では「音楽家,舞台芸術家」として集計されています(2023年・全国)。この区分には2の職業がまとまっています。

きまって支給する現金給与額408千円
年間賞与その他特別給与額842.3千円
平均年齢38.4歳
平均勤続年数11.3年
労働者数2,124人

月額給与の推移

438.7416.1393.5370.9348.32020202120222023音楽家,舞台芸術家千円
賃金構造基本統計調査の「音楽家,舞台芸術家」(全国・男女計)。単位は千円。

都道府県別の月額給与

Japanese Prefectures Created by Geolonia (https://geolonia.com/). 沖縄 / Okinawa 鹿児島 / Kagoshima 宮崎 / Miyazaki 大分 / Oita 熊本 / kumamoto 長崎 / Nagasaki 佐賀 / Saga 福岡 / Fukuoka 高知 / Kochi 愛媛 / Ehime 香川 / Kagawa 徳島 / Tokushima 山口 / Yamaguchi 広島 / Hiroshima 岡山 / Okayama 島根 / Shimane 鳥取 / Tottori 和歌山 / Wakayama 奈良 / Nara 兵庫 / Hyogo 大阪 / Osaka 京都 / Kyoto 滋賀 / Shiga 三重 / Mie 愛知 / Aichi 静岡 / Shizuoka 岐阜 / Gifu 長野 / Nagano 山梨 / Yamanashi 福井 / Fukui 石川 / Ishikawa 富山 / Toyama 新潟 / Niigata 神奈川 / Kanagawa 東京 / Tokyo 千葉 / Chiba 埼玉 / Saitama 群馬 / Gunma 栃木 / Tochigi 茨城 / Ibaraki 福島 / Fukushima 山形 / Yamagata 秋田 / Akita 宮城 / Miyagi 岩手 / Iwate 青森 / Aomori 北海道 / Hokkaido
  • ≤344.8千円
  • ≤383.7千円
  • ≤411.3千円
  • ≤449.8千円
  • ≤679.5千円
色が濃いほど月額給与が高い。県にさわると数値が出ます。出典 賃金構造基本統計調査(2023年)。

音楽家,舞台芸術家の都道府県別の給料を見る

この分類の人はどれくらい動いているか

ここから下は、この職業が属する「専門的・技術的職業従事者」という大きなくくりの数字です。職業ひとつずつの統計は無いため、国の調査で使われている職業分類の単位で見ています。

専門的・技術的職業従事者に入った人は、前はどんな仕事をしていたか

専門的・技術的職業 80%サービス職業 6%管理的職業 3.2%事務 3.2%販売 3%生産工程 2.4%その他 2.1%
  • 専門的・技術的職業80%
  • サービス職業6%
  • 管理的職業3.2%
  • 事務3.2%
  • 販売3%
  • 生産工程2.4%
  • その他2.1%
雇用動向調査から、この分類に入職した人の前職の内訳。同じ分類からの移動が80%を占めます。

この分類に入った人のうち、20%は別の分類の仕事から移ってきています。未経験からの入りやすさをはかる目安になります。

雇用動向調査 職業別 未充足求人数・欠員率(2021年)
雇用動向調査 職業別 入職・離職者構成比(2017年)
雇用動向調査 現職職業×前職職業 別入職者数(2019年)

働き方の特徴

日本には様々な規模のオーケストラ団体がある。多くの団体が加入している日本オーケストラ連盟の資料によると正会員・準会員として約40団体があり、約2300名の楽員が所属している(日本オーケストラ連盟,2025)*。  就業形態としては、規模が大きいオーケストラに所属する場合は固定給もしくは年俸制での正規雇用で定年まで就業できる。他方、大多数の中規模、小規模のオーケストラの場合、公的な助成を受けながら運営しているなど運営資金に余裕がないことから、業務委託での契約となり、生計を立てるには兼業や副業でいくつかの仕事を掛け持ちする必要がある。収入を得るための仕事のほかに、日々、数時間に及ぶ楽器の練習は必須なので、休日や休暇の取得や週、月単位の働き方は個人によって異なる。  オーケストラ奏者のポジションには、コンサート・マスター、各楽器のパート・リーダーである首席奏者、副首席奏者、それ以外の一般の奏者(tutti奏者)がある。また、運営と楽員の間に入り、様々な調整を行う役割としてインスペクターという職務を兼ねている楽員もいる。首席奏者は採用の際に首席奏者として募集され入団する場合が殆どである。首席奏者が退職してポジションが空いた場合などに、楽員としての経験や演奏に対する姿勢から副首席から首席奏者になることもある。また、実績や経験を積んで技術を磨き、国内外の他の団体に移籍する者もいる。  *日本オーケストラ連盟(2025) 日本のプロフェッショナルオーケストラ年鑑2024 P.161

出典
職業情報提供サイト(job tag)/厚生労働省 職業情報データベース(独立行政法人 労働政策研究・研修機構 作成) 数値系 Ver 7.00/解説系 Ver 7.01(2026年7月30日取得)
賃金構造基本統計調査(厚生労働省)「令和2年以降 一般_都道府県別_職種(特掲)DB」を加工して作成
雇用動向調査 職業別 未充足求人数・欠員率(2021年)
雇用動向調査 職業別 入職・離職者構成比(2017年)
雇用動向調査 現職職業×前職職業 別入職者数(2019年)